

●「テミスの不確かな法廷」を読んで【直島 翔 さん】
リーガル小説を読みたい気分で本屋さんに行くと、「法廷」という言葉がついたタイトルのこの本を見つけた。直島 翔さんの「テミスの不確かな法廷」だ。
タイトルにある「テミス」とは、ギリシャ神話に登場する法と正義の女神だそうだ。
法廷で繰り広げられるリーガルミステリーだと思って読み始めた。
ところが、そう単純なものではないことに、すぐに気がつく。
特徴的なのは、主人公の裁判官が発達障害の一つであるASDの特性を持っていることだ。
ASDについての知識は、本やネットでの「文字」での情報しか持ち合わせていない。
「こだわりが強い」「感覚過敏」「偏食」「コミュニケーションが苦手」など。
それらの特性を知り、理解しているつもりになっていた自分を反省した。
なるほど、そういうことだったのか。
「こだわりが強い」の一つとっても、なぜそういうことにこだわるのか、なぜそういう行動に出るのか、何に困っているのか、それをどう克服しようとしているのか。
かなり具体的に描かれていた。
また、安藤清春の特性ゆえに、型にはまらない行動と推理によって、事件が解決していく過程もよかった。
発達障害の特性で不安定な心に生きづらさを抱える安堂清春の、もがいている姿や懸命に生きている姿が描かれている。そのひたむきさに、発達障害への理解が深まった。
もっと、安堂清春の物語を読んでみたい。
